レグナくんとナターシャさんが戻らないのが
気になって仕方なくなってきた頃。

「うぅ…。」

イルルが呻き声をあげた。
寝苦しそうだ。

「あれ眠ってるわけじゃないし。」

リーヴェが解説してくれた。

「なんとか写し終わった…かな。ぽこぽんさん、こっち来てもらえませんかね。」

何の用だかよくわかってないが、
とりあえずラウザの近くに行ってみる。

「これ、イルルさんの魔符。武器に貼って使う。」

ラウザは疲れきった様子で
俺に一枚の紙を渡してきた。

「武器は銀製か、銀メッキがついてるといいけど。」

銀は武器に使うには不向きだ。
それに、一般的な刀は玉鋼でできている。

「貼るっつったってね…刀のどこに貼れと。」

「刀…?イルルさんはサムライか。予想通りだけどね。」

ラウザはそう言って、
気絶するように寝落ちした。

「…リーヴェ。」

「なんだ。」

リーヴェから応答があった。

「コイツ寝落ちしやがったわけだが、どうすれば。」

「知らね。」

…そうだよなぁ。

「とりあえずコイツ放置して、レグナくんとナターシャさんを探してきてほしいんだが。」

俺はリーヴェに頼んだ。

「…?ぽこさんが行かない理由って?」

俺が外に出ても役に立たないが、
役に立たない理由を素直に言うのも
なんだか嫌である。

が、隠しても仕方ないし
どうせ「いずれは」わかることだし
その「いずれ」が今なだけだ。

「…俺方向音痴なんだ。」

リーヴェはしばらく沈黙した。

「お、おう。」

そう言って、特に何も言わず、
部屋から出て行った。

どうやらレグナくんとナターシャさんを
探しに行ったようだ。