魔法関係の棚の前まで来たものの
自分自身が使えないものを調べるのは
かなり大変だ。

「書いてあることかさっぱりわからんな…。」

愚痴を言っている俺に、横から本が渡された。
思わず受け取る。

見ると、リーヴェがいた。
どうやらこの本を調べろと言いたいようだ。

「頼んだ。」

そう言って、他の本を探しに行ってしまう。

俺は溜め息をつきながら
適当な机を占領し本を読む。

元から本を読むのは苦手なせいか
しっかり読もうとすると
俺本人もきついうえに
調査は、はかどらない。



というわけで。



15分くらいで適当に読んだ。



わかったことと言えば
明らかに自然現象ではないというくらいだ。
何も進んでいない。



さらに溜め息をつくと、
背後から無神経な足音が聞こえた。

とてとてと音がする。

振り向くと、イルルがいた。

「これ解決になるんじゃね?」

イルルが持ってきたのは
世界の呪いという本だった。

イルルが開いたページには
「精神年齢と同じくらいの外見になってしまう」呪いが
書かれている。



俺は全力でつっこみそうになったが

周囲の静かさを思い出して我に返り

イルルにデコピンをした。



「却下だ却下。赤ん坊になる気かお前は。」

イルルの精神年齢は実年齢と釣り合っていないと思う。

「失礼な。」

言葉では意外とおとなしめな反論をするイルル。

しかし、
とても違和感を感じさせない自然な動作で
静かに俺の足にカカトを落とし
ぐりぐりと踏みにじり始めた。

痛い痛い痛い。



イルルは満足するまで
俺の足を踏みしだくと
また呪いカテゴリの本棚へ戻っていった。



入れ違いにリーヴェが来て
本を何冊か積み上げる。

「よろ。」

それだけ言って
リーヴェは
また魔法カテゴリの本棚へ行ってしまう。



「もしかしなくてもこれってハズレ籤というやつか。」

愚痴を言いながらでも
読まないと調査は終わらない。



俺は仕方なく
リーヴェが置いていった本を読み始めた。