俺たちは医務室へ向かった。

ノックをしても応答はなかったので
医務室の扉を勝手に開ける。
誰かいるものだと思ってたが、無人だった。

ナターシャさんが勝手にイルルの手当てを始める。

「回復魔法を使う前に、傷口を消毒しないと化膿しちゃうし。」

だそうだ。

回復魔法とか使えない俺は
暇なので医務室の壁を見ていた。

壁に地図が貼ってある。

「図書室とか資料室とかないか?」

リーヴェがきく。

「その施設がない学校はないだろ。」

リーヴェに答えながら、本来の目的ってなんだっけ?
と考える。

「ラウザが来てから、何故か魔族の親玉を探してるが、目的はなんだっけ?」

少しまったりした時間が流れたので考えてみた。

イルルが騒動を起こすから軽く忘れてたけど、
イルルを元の姿に戻せたらいいだけで
俺たちはラウザが追ってる魔族と対決しなくてもいい。
むしろ全力で面倒事は避けて行きたい。

「俺が前衛として機能すれば魔族探さなくてよくね?」

イルルがぼそっと答えた。

「魔族の親玉は無関係じゃなさそうだが正解だな。」

リーヴェがニヤニヤしながら言った。

「盗まれたモノを取り戻すのは盗人をシメるのほうが簡単ではあるが。」

イルルが面白くなさそうな顔で補足した。



ってことは、
イルルを元に戻す方法を調べる調査と
聞き込みをわけたほうがいいよな…。

「とりあえず、内情を探るのは2人いればよさそうかな。」

これ以上イルルを野放しにしたら情報よりも生傷が増えそうだ。

「イルルはお留守番ね。」

ナターシャさんにさっくりと決められる。

「えっ?!ナタ、マジで言ってる?」

「僕の言うことが聞けないの?」

「むぅ…。」

イルルを黙らせることができるのはあなただけですナターシャ様。

「オレも調査だな。ヒトに任せるより自分で調べたほうが早いし。」

単純に能力だの知識だので割り振ったら
ナターシャさん、リーヴェ、俺の3人が調査するのがベストなんだけどな、
とため息をついた。

幸せと一緒にエクトプラズムも逃げていった気がしたけど
もう人並みの幸せなんて望んでない。

「レグナくんはどこにいても目立つから外にいたほうがよさそうだ。」

レグナくんは無言でうなずいた。
しょんぼりした顔だ。

少し調べたら外にも様子を見に行ったほうがよさそうだ。