勇者34歳

しばらくするとチャイムが鳴って、昼休みになる。

「周りの会話を拾うだけでも昼休みの間は気合入れないとな。」

「そうですね。」

そんなことを話していると
ありえないくらいの大集団が入ってきた。

「あの、僕、こういうの、ホントに困るんです…。」

か細い声が聞こえる。

「うおおおレグナちゃーぁん!」

な、何の騒ぎだ…。

騒ぎの中心を見ると
レグナくんが野郎共に囲まれて困っていた。

困っている顔も可愛いが、
声をかけたら目立ってしまう。

どうしたものか…。

俺は講義の前に聞いた会話を思い出す。

可愛い子がいる。マジ天使。



そういえば
レグナくんは羽をしまっているのか?

俺はレグナくんの背中を見るが
特に何もなかった。

天使の羽はうまく隠しているらしい。



レグナくんを助けたいものの
手も口も出せなくて困っていると。

「…やめろ。」

ドスの効いた声がした。
なんかこの声、聞き覚えがあるんだけど?!
嫌な予感しかしないんだけど!!

食堂が凍りつく。

「嫌がってるだろ。」

「イルルさん!!」

「なんだぁ〜?このガキ…。」

「このストーカー。」

「だ、だめです!イルルさん挑発しないでください!みなさんも、子供相手に何殺気立ってるんですか!?」

トラブルの匂いが
濃厚に漂ってるけど、どうしよ…。

「あれなんとかなんない?」

「うーん…。」

JJも思案顔だ。