勇者34歳

「王都じゃ、あまり魔族狩りはいないな。」

リーヴェが解説してくれた。

「魔族を狩るのが仕事の人のことだのぅ。」

ナターシャさんが補足してくれた。

JJが
イルルと思われる子供を見たという場所に行ってみる。

黒が基調の服に
ところどころ緑の装飾がついてる人が
イルルに話しかけているが
イルルはずっと黙っている。

「ちょっと何してるんですかあなた!」

頭上からレグナくんの声が聞こえた。

「それに気安く話しかけないでください。」

いつもなら、
イルルが怒りそうな言い方だが
イルルは相変わらず黙り込んでいる。

「天使か。この国では天使をよく見かけるな。」

声だけ聞くと
どうやら魔族狩りの人は
男のようだ。

「あなたは魔族狩りですね?何故こんなところにいるんですか?」

レグナくんはイルルと魔族狩りの男の間に割って入った。

羽が広がっているので、
威嚇してるように見える。

魔族狩りの男は
少し困った顔をしてレグナくんに説明を始めた。

「殺しそびれた魔族がこのへんに逃げてきてる。その人からターゲットの魔力を感じたんだけど、ただの人間みたいだから色々聞いてただけ。」

「魔族…?」

レグナくんの翼が最大限に広がる。

「結構大物だし、探すのが少しきつい。」

待ってても会話は終わりそうにない。

イルルはおとなしいし、
どうやら魔族狩りの男は
有益な情報を持ってそうだ。

さっくりと情報だけもらうに限る。

「イルルにターゲットの魔力がついてるって?」

いきなり会話に割り込んだ俺に
視線が集まる。

「失礼。そいつはイルルといって、俺の」

イルルって俺の、なんだろう?

会社員時代では同期だったけど
今この姿で同期って言っても無理があるような…。

「友人で。」

無難なところに落ち着いた。

行きずりの人に
色々詮索されるのも
面倒だし。