勇者34歳

教会は人で溢れ返っていた。

イルルが人と人の間をすり抜けて
前に人だかりの前へと進む。

小さくなったせいか
いつもよりもすばしっこい。

よく聞こえないけど
必死に耳をすまして
教会関係者の説明を拾うと
どうやら呪いでもないようだ。

打つ手なし、か?

昨晩までは
イルルとの年齢差を実感することは少なかった。

実年齢から15年引いた後の体格差は
年齢差をそのまま表している。

あまり、実がある話は聞けずに
教会を出る。

4人そろってしょんぼりしていると
空から金髪碧眼の天使が降りてきた。

「レグナくんか。レグナくんは謎の若返りに巻き込まれてないのか。」

レグナくんは少し驚いたようだった。

「光の精霊のアザが無いと発見は難しかったかもしれませんね…。」

イルルの顔は変わってないけど
身長が縮んでるしな。

あとはヒゲが無くなってたりだとか
意外と変化がある。

「どうやら、元の姿に戻らないと旅を続けるのは難しそうですね。主にイルルさんが。」

イルルがレグナくんを軽く睨むが
小さくなっているので
あまり迫力がない。