「どうすんのこれ、病院?」

リーヴェが戸惑い気味につぶやく。

「病院じゃないのかもしれないけども、体への異常だから病院かな…。」

医者が大変だろ、と思いつつ
俺本人も割と病院に行くしかないと思っている。

ちまくなったイルルは
じたじたと暴れて
病院に行くのを嫌がっている。

とにかく
宿屋から出ないことには
病院にも行けない。

俺たちはどたばたと宿屋を出る。

宿屋の受付に
昨日はいなかったイケメンがいたが
とりあえずスルーで。

「魔族からの呪いの可能性もあるか…?」

リーヴェがぼそりと言う。

「とりあえず、病院行って、わからなかったら教会に行くか。」

町は昨日来たときよりも
露骨に騒がしく
至るところで叫び声が聞こえる。

病院に着くと早速イルルをみせる。

「信じられないかもしれませんが、事実として、若返っていますな。」

医者はいきなりそんなことを言い出した。

俺たちが呆けた顔をしていると
医者はもう少し細かく説明してくれた。

「今日、この病院に来たのは何も勇者様たちが初めてというわけではありません。」

その割には来てる人が少ないような。

「実年齢が30歳前後の人は変化がわかりやすいかもしれませんね。だいたいどの人も、15年ほど若返っています。」

「これ、元に戻す…、治す方法は?」

医者に聞くだけ酷だと思う。

「このような病は今のところ確認されてません。呪いの類と言ったほうがよろしいかと。」

医者の言葉を聞き、しょんぼりするイルル。

空気が抜けた風船のように
凹んでしまったイルルをつれて
病院を出た。

イルルを引っ張って、教会へと向かう。