「レグナくんは天使。聖族。これはわかるかの?」

わかる。

「メルスベルク鉱山で会ったドMは魔族。それもわかるかの?」

わかりますよ?

「ぽこさんみたいに魔法が一切使えない人は純血の人間だのぅ。」

そんな血統書付きのイヌとかネコみたいな…。
とか思ったけど、話を途中でさえぎると怒られそうだったから
黙って続きを聞く。

「ボクやツキヨさんみたいに治癒術とか…要は魔法だのぅ…を使える人は先祖に聖族か魔族がいるのじゃよ。」

「先祖に聖族が混ざってるか、魔族が混ざってるかの違い?」

「そのとおりだのぅ。」

今のナターシャさんの説明から考えると
確かにイルルが治癒術を使えないのは
さぼってるだけな気がしてきた。

ツキヨさんが治癒術を使える。

イルルはツキヨさんの子供である。

先祖が同じなんだから
イルルに魔法が使えないわけがない。



「それに、魔族との争いが激化してもう長いから、怒りの捌け口として魔族混じりに八つ当たりする人が多いんじゃよ。」

えぇと、つまり?

「リーヴェがいるとトラブルに巻き込まれる確率が上がるのぅ。」

「つまり、今の状態は、トラブルメーカーの2乗、と…。」

「リーヴェ本人が悪いわけじゃないんだがのぅ。どっちの種族が混ざってるかなんて、外見からはわからんからのぅ。」

リーヴェが自己申告したわけじゃないから
やっぱり知られたくなかったのかもしれない。

俺にとっては、だから何?って話なんだけど。

「トラブルメーカーってことならイルルも同じだし、しょーがねぇな。」

「それだけが理由で何かに巻き込まれる可能性があることを把握しておいてほしいだけじゃよ。」

ふむ。

…あれ?

「今、イルルとリーヴェとデルフさんの組み合わせで、刀を…。」

何かに巻き込まれてなけりゃいいんだが。