「そもそも背格好が似た別人についていくとか、イルルはリーヴェのどこを見て本人判定してるんだ?」

他人の顔や名前を覚えることを苦手とするイルル。

特別にブサイクでもなければ美形でもない、
よくも悪くも普通で顔に特徴がないリーヴェ。

イルルがリーヴェをどう記憶してるのか気になる。

「髪の色だな、リーヴェが髪を染めたら暫く誰だかわからなくなるし。」

結構ひどい覚えかただった。

リーヴェはそれを聞いてニヤニヤしている。

「…よくわかったよ、灰色っぽい髪の、リーヴェじゃない奴についていっちゃったんだな。」

灰色とか
そんなに珍しい色じゃないと思うから
目印にはならないような気がするが。

「でさ、誘拐されたときに刀を落としたっぽいんで、ちょっと探しに行ってくる。」

そういえば助けたときには、刀を持っていなかった。

「別に妖刀とか名刀とかじゃないんだが、使いなれた刀じゃなくなるのはまずいんでな。」

言ってることは理解できるし、共感もする。

でも、

あれ?この流れって…。
刀を探しに行く系の流れ?

「山小屋に適当に放り込んであるところまでは覚えてるんだよな。っとわけで探しに行ってくる。」

やっぱりそうか。

「とりあえずリーヴェ借りてく、あとは兄貴も手伝ってくれるみたいなんで心配はいらん。」

「はいはい。」



イルルとリーヴェとデルフさんが
刀捜索に行った数日間、期せずして平和が訪れた。

情報を集めた結果、
プラティナム自治区を南下して
光の精霊の神殿を目指すことにした。