次の日の朝になっていた。

俺が起きると
珍しくイルルが起きていて
リーヴェとタバコを吸っていた。

俺ものそのそと起きてタバコを吸う。

そういえば、イルルって…。

「なんでイルルともあろうものがさらわれたんだ?」

イルル本人は
チビだと自虐ネタにしているが
それは仲間内だけでの話であって
イルルの体格は
誰が見ても成人の範囲内。

そのへんの幼児をホイホイ誘拐するのとはわけが違う。



「俺もリーヴェと歩いていたと思ってたんだよな。」

イルルは、うーん?と言いながら
ぽつぽつと話し始めた。

「リーヴェと歩いていたと思ってたけど、人の気配が少ない場所に向かっていってたから変だとは思ったんだが。」

「え?オレは大通りでさっくりイルルを見失ったんだが。」

リーヴェが口を挟む。

「で、リーヴェだと思ってついていってたヤツが、リーヴェじゃなかったんだ。背格好が似た別人だった。」

「…なんでそんなのについていったんだ。」

「俺も不思議だ。」

イルルもよくわかってないらしい。