勇者34歳

「なかなか帰ってこないから従業員のシフト表を見て空いてるヒトに案内してもらったぞ。」

リーヴェが持ってるリストはシフト表か…。

ていうかプラーティーン城の
メイドさんとかって従業員でいいの?
知らないけど…。

イルルは布を切り終わったのか
手際よく縫い合わせていく。
リーヴェも別のパーツを縫い合わせていく。

「ぽこぽん、おまえも手伝え。ピンクの印がついてるからそれを縫えばいい。」

確かに縫うだけならできるけどって
答える前に縫い針とか糸とか色々渡された。

なんか視界の端でレグナくんがそわそわしてるのが見える。

手持ち無沙汰だけどなんかしなくちゃ系の
義務感だと思う。

「べ、別に手伝おうなんて思ってませんからね!」

俺はなにも聞いてないのに
目があったら勝手に答えるレグナくん。

しかしイルルは完全に無視している。
まさにアウトオブ眼中。

職人モード?

普段見慣れない気迫に満ちていて
声をかけにくい。

それはレグナくんも同じようで
そわそわしてるのがわかる。
(羽が時々ばさっ!と広がる。)

しばらく経ってイルルが声を発した。

「レグナ。」

「は、はい?」

レグナくんが応答する。

「羽をばさばさするな目にうるさい。それに羽も散るし風で布が飛ぶし迷惑。」

目にうるさいって…どういう表現だろう。
目障りってやつ?

しかしそんなに
念入りに
淡々と
長文で
目障りな理由を述べなくても。

レグナくんは怒ったような顔をしたけど、
しょぼんとして
病室から出ていった。

「あれは言い過ぎなんじゃ…。」

一応イルルに言ってみる。

「そう思うなら勝手に追いかけたまえ。」

さすがにレグナくんが可哀想になってきたが
どうしたらよかったのか。

レグナくんの年頃って
男でも女でも難しいんだよな…。