「というわけでだな、レグナに重要ミッションを与えるっ!」

イルルよ、起きたばかりでよくそんなにシャウトできるな…。

「重要とまで言われるとプレッシャーですね…。」

レグナくんが珍しく弱気だ。

「木綿布買ってこい。」

「それっていわゆる使いパシりですよね?!」

「何言ってんだ?俺は重要ミッションと言ったはずだが?」

イルルは偉そうに言葉を続ける。

「真っ白とキナリだけは避けてくれればいい。金はどうせシルティアが持つし。」

それはそうなんだが
何故白っぽい色を避ける?

「防具ならだいたい血で汚れるからな。白は汚れが目立つからダメだ。」

イルルが勝手に答えてくれた。

「そうだな。作ってる最中も汚れやすいし…。」

リーヴェがイルルを援護。

「シルティア王国のお金なのにいいんですか?」

レグナくんって天使のわりに
人間界の仕組みに詳しいよな。

「防具作る金もけちるなら魔王討伐をやめるだけだ。」

それもそうだな…。

「で、ぽこぽんは防具を強化する聖水を作るか、教会からもらってくるかしてくれ。」

「ほいほい。」

もらってくるほうが現実的だな…。

「リーヴェは俺と型紙作成。」

「おけ。」

ニヤニヤしながらリーヴェが応じる。

「わかったなら散れ!ナタの誕生日は明日だ。明日は待ってくれないぞ。」

そのとおりなんだが
イルルの人使いの荒さは
恐ろしく的確だな…。

前世は
さぞかし優秀な司令官だったに違いない。
(そもそも前世とか信じてないけど。)

俺はイルルが目覚めて嬉しい反面、
複雑な気分になりながら病室を出た。

ナターシャさんの誕生日まであと12時間くらい。

確かにナターシャさんの誕生日は
待ってくれないな。