「森から出てきたようだな。大物賞金首ばかりじゃねぇか。」

デルフさんが賞金額を数えている。

そういえばこういう職業のヒトだった。
思わず脱力する。

「…まずいかも。」

デルフさんがぼそっとつぶやいたのを
俺は聞き逃さなかった。

「まずいかもとか言われても、今さらすぎ。既に状況はおいしくありません。」

優しくつっこんであげた。

「そうじゃない。」

デルフさんがしっかり否定する。

「今よりまずいって言ってるんだ。」

どういうことだ?

「賞金首って意味ではイルルも同じなんだ。他人から見たら。」

…あっ。

「アイツ、確か正規軍の偉いヒトのボンボンをボコボコに…。」

「そういえば賞金、かかってたな。」

リーヴェか頭をがしがしと掻きはじめた。
どうしようもなく困っている。

「レグナ、イルルはもう森の外か?」

『はい。』

「この手だけはな〜、使いたくなかったけどな〜。」

リーヴェは明らかに困った声だ。

「でもデルフさんは、兵士たちから見たらイルルも凶悪犯も変わらないと言ってるわけでしょ?」

「あ?うん、そうだけど。」

いきなり話を振られたので驚いたみたいだったけど
デルフさんが答える。

「レグナ、弓でイルルを射て。」

『「「はぁあぁあ?!」」』


「どういうことだね、リーヴェさん。」

ナターシャさんがリーヴェを問い詰める。