「それで、はいこれ。」

ナターシャさんが俺に赤い服を渡した。
広げると、軍服のようだ。

「ナンダコレ。」

「着て撒き餌になるんじゃよ。」

装飾過多の改造軍服は
いかにも重そうだ。
上着だけを着てみる。

「ナターシャさん、これ露骨に重いんだけど。」

「我慢なさい、防弾・防刃を仕込んでるんだから。」

「ここでこんなもん着てるようじゃ、魔王候補になんか勝てないぞ…。」

「それは、そうかもしれないけど…。」

「わかったよ。」

リーヴェが言った。
何をわかったと言うんだ。

「撒き餌の役目を終わらせたら指揮官がいる本陣に来い。」

リーヴェの意図がわからないな。

「よくわからないけど、わかった。」

そう答えると
リーヴェは発信器を貼りつける作業に戻った。