俺とリーヴェが話してるのを見て
ナターシャさんがこっちに来た。

白い軍服に銀の飾りが
ところどころに付いている。
これじゃ目立って仕方ないだろう。

「リーヴェさん、ホントにこれ使うのかの…?」

ナターシャさんは少し嫌そうな顔だ。

「これは、王立大学の頃に門限破りをするために作ったんだけどね。」

なんという、技術の無駄遣い。

「見回りの先生の持ち物にぺたぺた貼ってのぅ。」

ランプの持ち手や懐中電灯の内側に貼ったらしい。

「ナタさん。プラティナム自治区の技術力はオカシイって。」

「そうかのぅ?」

ナターシャさんは
うーん、と考えた。

「そもそも、旧プラーティーン王国の民は争い事が苦手でのぅ。争いを回避するための道具なら山ほど開発してあるのじゃよ。」

その結果がこれか。
この無駄に高性能なシールか。

「イルルは発信器と名付けていたと思うけど。」

ナターシャさんが、リーヴェが持っている板を指さす。

「それが受信機。」

ナターシャさんはため息をつく。

「発信器は対象にくっつけなきゃ使えないからのぅ。どうしても相手に接触しないといけない。だから不良品じゃよ。」

どういうことだ?

「理想は、追跡したい相手に向かって飛んでいって自動的に貼り付く発信器だのぅ。」

ナターシャさんが求めるレベルの高さに
俺たちがため息をつきそうだ!