「全部聞いてたようじゃのぅ。」

ナターシャさんが俺を見て言った。

「自治区以外にはあまり出回ってないのじゃが、スナイパーライフルは使えるかね?」

使わせてもらえないことには
なんとも言えない。

名称から、遠距離用の銃くらいかなと
察することはできるけど。

「撒き餌にするつもりじゃが、後方で安全に目立ってほしくてのぅ。」

そんな無茶苦茶な…。

「それはボクも同じ。」

ナターシャさんが普通のため息をついた。

「前に出ようとしたら反対されてしまってのぅ。」

そりゃそうだ。

「ナタさんは治癒ができるから衛生兵でいいと思う。」

「ふむぅ。」

リーヴェに言われて
なんとなく
しょげているナターシャさん。

ナターシャさんに何かあったら
それこそ
イルルに殺されてしまう。

「当たり前だが、町の中にも山賊側の斥候がいる前提で動くべきだ。」

リーヴェが言った。

これだけ賑やかな町なら、いるだろうなぁ…。

「じゃあ準備にかかってもらえるかの。」

ナターシャさんの一言で
お偉いさんズが退室する。

「ぽこさんはスナイパーライフルの練習。」

ナターシャさんに獲物を渡される。

ズシリと重いスナイパーライフルは
嵐と波乱に満ちた作戦を
予想しているかのようだった。