捕まってるのは俺の仲間なんだぞ。

会議室から漏れてくる声を
がんばって拾ってみる。

「こちらから攻め込むのか迎え撃つのかで作戦が変わると思いますが。」

この声は…スティール大尉か?

「山賊は人質をとっている。こちらが取り返しに攻め込む想定だろうな。」

リーヴェの声だ。

「「人質?!」」

軍のお偉いさんには初耳だろうな。

「ナターシャさんの後輩だ。」

ほとんどリーヴェがしゃべっているな…。

「しかし、作戦に私情は挟めません。ボクが想定してるのは…、」

プラティナム自治区で開発された
スナイパーライフルで見張りを駆逐。

その後スナイパーライフル部隊は
遠距離攻撃ができる山賊を駆逐。
主に弓兵。

攻め込む際は
刃物を持った斬り込み部隊を先頭に
戦線を上げていく。

「空に斥候を放ってあるので不可能ではないと思うけれども…。」

「「空!?」」

そりゃ、
いきなりそんなこと言われても信用できないよな…。

「懸念すべきは地面の下のトラップ。」

リーヴェの声だ。

「そんなところだのぅ…。山賊はずっとあの山を根城にしていたのだから…。」

数秒の沈黙。
すぐにナターシャさんの声がした。

「だとしたら戦線を上げるのは危険?」

ナターシャさんの問いかけに
ジョーンズ大佐と思われる声が
応答する。

「そうですね、山賊を誘い出せる何かがあれば。」

「じゃあボクが前に出ようかな。」

ナターシャさんが信じられないことを言った。

「ナターシャ様!危険すぎます!!」

同感だ。

「御身に何かあったらいかがなさるおつもりで?シルティアとプラティナムの関係にヒビが入るどころではありませんよ。」

「人間同士で戦争をしている場合ではないのに、戦争になりかねません。」

お偉いさんズに畳み掛けられるナターシャさん。

「むぅ…。」