偉いヒトが部屋に入ってきた途端、
ナターシャさんの表情が引き締まる。

こんな表情もできるヒトだったんだ…。

プラティナム自治区に来てから
ナターシャさんの意外な面を
よく見つける。

「ご苦労。此度、山賊掃討作戦の指揮官を拝命した、ナターシャ・ユメハ・プラーティーン・アタホークだ。」

デルフさんより少し年上の偉い人たちが固まる。

「補佐のリーヴェ・マカロン。」
ナターシャさんがリーヴェを紹介する。

当惑しかなかった指揮官の表情が
羨望に変わる。

「ジョーンズ大佐であります。」

「スティール大尉であります。」

「これより作戦会議を始める。ボクは経験不足だから足りないところがあったら指摘してほしい。」

2人の軍人がしきりに俺を気にしてるんだけど…。

「彼は勇者です。ぽこぽんといいます。」

ナターシャさんが紹介してくれた。
そしたら、今までに見たことがない表情をされた。

「勇者は替えがきかない存在と聞いています。どのような事情がおありか存じませんが、勇者様は作戦に参加なさらないほうがよろしいのでは?」

スティール大尉にキツイことを言われた気がする。

でも作戦はさっさと練らなきゃいけない。

「じゃ、俺は外に出ときます。作戦が決まり次第教えてください。」



勇者は、替えがきかない存在。

イルルは大切な仲間だけど
俺の行動は確かに軽率かもしれない…。

仲間さえ助け出せなくて
何が勇者なんだろう…?