現状がどうなったか把握した程度だがな。

とりあえず、俺は銃をおろした。
それを合図に、全員が構えを解く。

「残念ながら、こちらではイルルの行方は掴めていない。知ってることはそこの天使に話した。」

「どうもありがとうございます。」

レグナくんが天使の笑顔でこたえる。

「直接の関係があるかないかは知らんが、この町の現状くらいなら話してやってもいい。」

恩着せがましい野郎だ。

「そう怒るな。オレもイルルは心配なんでな。」

デルフさんはそう言って
勝手に空いてるベッドに座った。

「昨日からこの町は人が多い。理由は13年、自治区を空けていた元王女の帰還だ。」

「うむぅ、もう王女ではないのだがのぅ。」

「事実はそうでも民の心は未だにプラーティーンご一家のものだ。シルティア王家なんてメじゃないくらいにな。」

なんという人気。

「で、人混みに紛れて、何人か、山賊のスパイとおぼしきヤツらが捕まっている。オレも増援として呼ばれた。」

「むぅ…。」

ナターシャさんが複雑そうだ。

「イルルはそのスパイにつれていかれたんじゃないかという、推測。」

ちょっと飛躍してるような。

「そんなに飛躍した推測でもないな、賞金が目当てなら即刻正規軍なり、警備隊なりに、イルルをつきだしてると思うし。」

「そこのもやしの兄さんのいうとおり。あんな凶暴なヤツを長い間手元に置くなんて、正気の沙汰じゃない。」

なるほど。
一応イルルの性格を考えて言ってるわけだな。