翌日、起きてもイルルは帰っていなかった。

言葉にしないけど
ナターシャさんとリーヴェの表情が
暗くなってきている。

「ぽこぽんさん!」

ベランダからレグナくんが入ってきた。

「イルルさん、見つかりませんでした。」

「レグナくんってよそに宿とってたんじゃなかったの?!」

馴れ合うのはごめんです。
とか言いながら
イルルを探してたとしか思えないこと言ってるし。

「ぼくがどこに宿をとってるかより、イルルさんがどこに行ったのかのほうが心配でしょう?」

確かに何も言わずに消えたイルルが
心配ではあるんだけど。

「酒場と娯楽施設はだいたい見てきましたけど、イルルさんはいませんてしたよ。」



「…ボクが聞き込みをしたほうが早いかもしれんのぅ。」

そう言ってナターシャさんは
1階に降りていった。
俺とリーヴェもナターシャさんに
ついていく。

プラティナム自治区の人気者、ナタ様の聞き込みは
あっさり終わった。

イルルは人相が悪い男女が
つれてったらしい。

「何故イルルをつれていったんだろう?」

イルルは刀という凶器を持っているし。

「ぽこさん、あんなのでも騎士の家系ですよ。」

リーヴェがぽそっと言う。

「身代金目当てもありえるかと…、あるいは賞金か。」

そういえば、イルルって賞金がかかっていたような。

「正規軍のお偉いさんの子供と喧嘩したんだっけ?」

なんとなく
あんなのでも金にはなると
いうことはわかった。