「も、もしや、ナタ姫様では?」

ナタ姫?
ナターシャさんのことか?

「うむ。アヌークかね?」

「ナタ姫様!」

衛兵が敬礼する。

えっと。
話についていけないんだけど。

「ナターシャさんは南部の出身?」

とりあえずこの状況でわかる
最低限のことをリーヴェが聞く。

「うむ。そう言えば話してなかったかもしれんのぅ。」

そういえば
出身地なんて聞いたことがない。

「ナタ姫様、このかたがたは?」

「勇者と魔法使いとボクの後輩のサムライだよ。」

ナターシャさんが
俺らのことを衛兵に紹介している。

もう慣れたけど
勇者だって紹介されたときに
びっくりしたような
がっかりしたような
微妙な顔をされた。

「姫様って…貴族?」

今の王家には王子も王女もいなかったから
貴族の令嬢だろうか。

「当たらずとも遠からず、かのぅ。」

なんか、ナターシャさんの歯切れが悪いな…。