出発の日。

「じゃ、行くか。」

それぞれ
フリーダムに過ごしていたメンバーに
声をかける。

「レグナくんは不本意かもしれないけど。」

「ええ。とても不本意ですが命令なので仕方ありませんね。」

「食料とか一応積み込んであるからな。」

「おう。」

この町…リーゼの町だそうだ…から
南に向かい
南部から船で光の神殿に行くのだが

しばらく町がないらしい。

「南部は山賊がいるようだな。」

デットレイトでマイルから聞いた情報だが
未だに山賊の討伐が終わっていないそうだ。

「こっちは飛行車だしなんとかなるんじゃね?」

リーヴェの運転が全てだな…。

「まぁ、かっ飛ばすから問題なし。」

いつもの胡散臭いニヤニヤだから
なんとかなるんだろう。
ていうかなんとかしろ。

「それでは、行くかのぅ。」

ナターシャさんが乗り込む。

リーヴェは運転席にスタンバイ。

「じゃ、見送りされてもなんか困るしさっさと行こうぜ。」

イルルが飛行車に乗る。

「じゃ、レグナくんは空からで。」

「そんなにスピード出せませんけどね…。」

羽をパタパタするわけだから
疲れそうな気がするが
4人乗りだし仕方ない。

レグナくんも
馴れ合うつもりはないみたいだしな。

「じゃ、ハルシオンの町で。」

俺も飛行車に乗る。

「じゃあリーヴェ、かっ飛ばしてくれ。」

「おう!」

飛行車は静かに浮き上がり
徐々にスピードを上げて
南部に向かう。

俺は車の中から振り返り
リーゼの町を見た。

のどかな風景だ。

光の精霊とやらが
勝手に俺を選んだわけで
巻き込まれただけだと思っていた。

この風景を守ろうとひそかに決心した。

それが、
志半ばで死んでしまった勇者たちの悲願。

俺だって死にたくないし。

だったら
魔王候補たちを倒さなきゃ仕方ないよな。