「ワシ構ってちゃんだから放置はイヤ。」

天使くんは魔族に視線も合わせない。

「構って!」

その場にいないかのように
俺たちを見て天使のような微笑みで

…天使のような、
って
天使そのものなんだけど

名乗った。

「レグナです。弓使いです。中級天使です。」

なんで中級なんだ?

「中級ってことは下級がいるんだろうけど、こういうの下級の仕事なんじゃないのか」

リーヴェが天使くんに聞く。

「だって、人間って」

天使くんの笑顔がひきつった。

「下級天使よこして何かあったら責任者出てこいって言うでしょう?」

天界もそんなとこなのか?
そんな天界嫌だ…。

「俺はいいと思うけど。わかりやすいし。」

イルルの考えは俗世にまみれてるな。

「じゃあレグナ君が何かやらかしたら誰に文句言えばよいのかね?」

ナターシャさん、
これはレグナくんに投げっぱなしの任務だと思います。

「天界にどんな夢を持ってるか知りませんけど、天使は天の使いって字を書くんですよ。」

レグナくんはひきつった笑顔で

「天からの使いパシリですよ。」

そうなのか?

「そうか。じゃあよろしく、パシリくん!」

イルルがまたダメなこと言った。
パーティがぎすぎすしそうで
嫌だなこの組み合わせ。

「レグナです。」

「俺、人の顔と名前を覚えるの苦手なんだ。」

なんで最初から
喧嘩の売買がおこなわれてるのか
俺にはわからない。

「喧嘩なら買いますよ?」

「いい加減にしなさい。」

ナターシャさんに怒られて
イルルとレグナくんは黙った。

さすがナターシャさん。

有無を言わせぬ迫力。

命令し慣れたお嬢様。