勇者34歳

「ずっと前の勇者から受け継がれてきたリングなんですけど。」

天使は俺の目の前に
多分ミスリルでできた指輪を出す。

白っぽい石がついていて
石の中には
俺のオデコにあるアザと
同じ模様が入っている。

「これを持って、南の、光の神殿に行ってください。」

行ったら何が起こるんだ?

「魔王と対峙できるだけの光の加護が受けられます。」

「それってぽこぽんだけ?」

イルルが
口を開いたから焦ったけど
まともなことを聞いたし
それは俺も聞きたかったから
まあいいや。

「光の精霊に選ばれたヒトだけですよ。」

「なんで都合よく指輪だけ受け継がれてきたんだ。」

リーヴェの疑問は当然だ。
俺も納得できない。
話ができすぎている。

「人間界が荒れ始めて50年、何人もの勇者が辿った道ですよ。宝箱が開いてないわけがないでしょう?イベントが終わってないわけがないでしょう?」

俺には君らをなんとかしろって
イベントが発生したけども、
確かに宝箱は絶望的だ。