勇者34歳

3人で仲良くタバコを吸っていたら
何か飛んできた。

飛んでくる何かが
ヒト型をしていることに気づく。

ここ2階なんだが…。

更に近づいてきた彼はこう言った。

「ごきげんよう、勇者さん。」

先代勇者の仲間の天使だった。

日中に見るとなかなか美少年だ。

「あ?」

天使だから
わざわざ宿屋の1階から
階段をのぼってくる必要はない。

無いけど

想定の範囲外だから
そりゃ間抜けな声も出るっていうか。

「勇者さん、ご機嫌斜めですか?」

機嫌が悪いとかじゃなくてね
ベランダから訪問されるのが
想定外なだけだ。

「便利だな。」

「天使って余裕で覗きとかできそうだな。」

リーヴェとイルルの感想。

「便利だけど、覗きとかしません。」

天使の反応は薄いように見える。

「用事は勇者さんにしかありません。」

しっかり気にしてた。

イルルの感想に
穏やかに気分を害したようで
にこやかに言葉の外で
『てめぇは出ていけ』と言ってるようだが
寝起きのイルルは空気が読めなかった。

いつも読めないんじゃないか
っていう疑問は軽やかにスルーで。

「とりあえず、用事って何?」

天使とイルルを触発しないように
さっさと用件だけ聞き出すに限る。