「魔族は基本的に手を組むだけや。たまに忠誠を誓うヤツもおるけどな。」

魔族にも色々いるんだな…。

「でもここ数年は忠誠を誓わんヤツのほうが多いんや。」

ここ数年…?
もっと前は魔王に忠誠を誓うヤツも
それなりにいた、みたいな。
そんな言い方だ。

「人間界も荒れとるけど、魔界も荒れとるんや。」

「人間界が荒れてるのはオマエらのせいだろ!」

イルルが怒鳴った。

「こっちの荒れ方の比じゃないし。」

「くそが!盗人猛々しいとはこのことだ!コイツ殺してやる!」

イルルちゃんの導火線が短すぎる…。

「まだ必要な情報を聞いてないから永久に沈黙させちゃダメだ。」

リーヴェが必死でなだめている。

「人間も一緒やろ。政権が揺らいだら日和見するやろ。」

そのとおり。
なんか人間くさいヤツだな。
でもそろそろイルルが爆発しそうなんだけど…。

「それは魔界の問題だろ!!魔界の問題をこっちの世界に持ち込むな!」

爆発した。

「もういいや、意外に下っ端みたいだから縛っといて。」

リーヴェがあっさり許可を出したので
ものの数分で、イルルが魔族を縛ってしまった。

「我々の世界ではごほうびです。」

なんかすごく喜んでるから
気持ち悪くなった。