「別に退治する必要はないし正規軍につきだす必要もない。」

突然ナターシャさんが話し始めた。

「依頼の内容の最後はこうだった。速やかに解決願う。」

そうだった。

「正規軍としても、彼らを悪く扱うつもりはないんでしょ。むしろ、妥当な落としどころを示すことを期待されてる。」

ナターシャさんは建物の影を見つめた。

「でしょ?そこに隠れてる正規軍の偉い人。」

「いやぁ、まさかバレてるとは思いませんでしたが。」

詰所にいたおっさん兵士だ。

「ボクが明るくしちゃったからねぇ。」

ナターシャさんが上空に放り投げた光は
相変わらず辺りを真昼のように
照らしている。

「なんとなくこんなことだろうと事情は察してたんですけどね。」

依頼内容にもっと詳しく書けよ…。

「だいたい偽勇者って言うと勇者の名を騙ってやりたい放題ってのが多いんですがね。」

俺たちもそれを想定してたんだがな。

「こっちとしては先代勇者パーティが現勇者パーティに合流してくれると嬉しいんですがね。」

それも落としどころのひとつではある。