「勇者のパーティってことは本当です。」

戦士の声が聞こえた。

「わたしたちは、先代の勇者の仲間でした。」

先代の勇者。
若くして亡くなった少女。

「今は、勇者という旗頭を失った、ただの冒険者です。」

何も、言えなかった。

「あの子は誰よりもひとびとの平和を願っていたから、わたしたちも手の届くところの平和くらい守りたかったんです。」

「騙る気はなかったんです。」

「僕たちの能力を、ひとびとを守るために使うこと。それが彼女の遺志を継ぐことだと思ってやってたんです。」

3人は話している間に泣き出してしまった。

どうしよう…。
助けを求めて俺の仲間を見た。

イルルは一緒に泣いている。
リーヴェは明後日の方向を向いている。

ナターシャさんとは目が合った。

ナターシャさんはしばらく考えこんでから、口を開いた。

「ボクたちは君たちを責めるつもりはないよ。」

ナターシャさんは俺に非難するような目を向けた。

仕方ない。
多分、言わなきゃいけないのは俺だ。

「正規軍の巡回を避けてたのは、自分たちでもマズイことだと思ってたからかな?」

「「「はい。」」」

どうマズイと思ったんだろう。