勇者34歳

目の前の魔族を
追い払わないとまずいとは思うんだけど

勇者

という単語を聞いて固まった三人組は
間違いなく偽物だと思うんだ。

しかも
ここで逃げられたら
俺のパーティの面が割れているという最悪の事態になる。

次は女装でもしないと
偽勇者パーティに接触すらできないかもしれないが
34歳男の女装なんか
絵的にグロいからご勘弁願いたい。

「勇者、そのバンダナなんやねん。似合っとらんなぁ。」

魔族は
脚に怪我なんてしてないかのように
普通に俺に近寄ってくる。

近づいてくる的に銃弾をぶちこむのは
技術的には多分難しくない。

でもここは狭い鉱山じゃなくて
無駄に広い町外れだ。

「そのヒトに近づくなぁ!!!」

天使の少年からの予想外の援護だった。
俺は透明のバリアで覆われた。

ただ、これだと
銃も撃てなさそうだけど…。