勇者34歳

イルルは一瞬背後を気にした。

リーヴェはまだぶつぶつと
魔法を唱えている。

リーヴェを守っているイルルが
斬りかかるわけにはいかない。

しかし、いくらリーヴェの
集中力が散漫だとしても
妙に詠唱が長いような…。

「あなたは魔族のストーカーがいたの?」

女戦士がイルルに同情の目を向ける。

「俺のせいじゃない!…多分。」

イルルも自信が無さそうだ。

「倒す?それとも捕まえる?」

少年魔法使いが誰にというわけでもないが
聞いてきた。

「簡単に捕まらんで!」

魔族は少し焦げてるけど
捕まるつもりもないらしい。

「そこのサムライさんをちょっと縛りたいだけでな。」

「オマエ縛られるのが好きなんじゃなかったのか。」

イルルがつっこむ。

俺はナターシャさんに
アイコンタクトを送った。

そのまま会話で引き付けておいてくれ…。