勇者34歳

市場を歩き回って情報収集をしたが
詰所で得られた情報と大差なかった。

「さすがに疲れたのぅ。」

蛇足だが、
ナターシャさんが買ったものは
全て俺が持っている。

「そろそろ俺も重いんですが…。」

「男が泣き言言わない!」

ナターシャさんに
くわっ!と怒られた。

1軒1軒で買う量は少ないが
かなり聞き込みをしたので
本当に重いんである。

「ボクは昨日詰所に行ってないから全部初耳だけど。」

「このへん、モンスターの名所とかねぇのかなぁ…。」

「森が近いとモンスターも増えるはずだけど。」

ナターシャさんが言う。

森が近ければ…?

「そうか、実際にモンスターに襲われた人に話を聞けばいい。」

「ふむふむ。確かに。」

ナターシャさんはそう言った。

「森に近い民家の住人に話を聞けばいいってわけじゃの。」

ナターシャさん、ナイスアイデア。

「じゃあそれ採用で。」

「採用って、ボクは就職試験に来たわけじゃないんだけどねぇ。」

ナターシャさんはのんびりそう言うと
町外れに向かって歩き始めた。

俺は全力でナターシャさんを止め
一度宿屋に荷物を置きに戻るように
必死にお願いして
なんとか荷物持ちを解放された。