勇者34歳

「まぁまぁリーヴェさんに任せとこうよ。」

ナターシャさんはそう言って
市場がありそうな方向に向かって歩き出す。

えっ?どうして市場に?

「何かモノを買えば商人はだいたい口が軽くなるものですよ。」

そんなものなのか…。

「バンダナ、緋じゃないのがあればいいんじゃがのぅ…。」

これはイルルの趣味であり
俺の趣味ではないのですが…(汗)。

「仕方なす、かのぅ。」

ナターシャさんはそう言って
適当に食材を買いながら
聞き込みを始めた。

「そのイチゴ、高いのを1パックくださいな。」

「おう。」

「ついでに教えてもらいたいんですけど、モンスター退治してくれる人知りませんか?」

「心当たりはあるけどねぇ〜、こっちが頼む前に退治に来るからねぇ〜…。」

ほほぅ、町の人たちにとっては
本当にヒーローってわけだ。

「どんな人たちなんですか?」

「直接見たことはないけどねぇ〜、20歳前後の3人組らしいねぇ〜。」

…うーむ、詰所で聞いた情報と大差ないな…。
この果物屋はこれ以上有益な情報は持ってなさそうだな…。

「あざーっす。」

ナターシャさんは適当に果物屋にお礼を言うと
また次の店で聞き込みを始めた。

情報収集のために
買い物をするのはわかるんだが

…買ったものって後でどうするんだろう…。