嘘吐きなその唇で




雅哉は両腕をいっぱいに伸ばし、「んー……、」と唸(うな)る。



おぉー、かなり伸びたね。



と。



「なぁ、灑良」



『んー?』



「家まで送る」



『え……?』



あ、私の声が震えた。



それは、やましいことがあるから。



もし、帰宅してきた朝比奈さんとあのアパートで出くわしたら、色々なことが露顕する。



それだけは避けたい。