嘘吐きなその唇で




は?何だって?



後方から聞き捨てならぬ発言が聞こえたんだけど。



これは、この男の要望を受け入れたと聞き取っていいのかな?



うーん、どうして願ってもいない展開になっちゃうのかしら。



いや、そういう展開にしちゃったのかしら。



「嬉しいな。ありがとう、柿原さん」



彼はにんまり笑うと、私の脇を通り過ぎて行く。



『(こんの柚乃ぉおぉぉお!!)』



般若の形相で向きを正面に戻せば、柚乃は実に嬉しそうに彼を自分の隣の席へ促していた。