嘘吐きなその唇で




周囲の視線が痛いから、ここで口喧嘩しないで?



思わずため息がもれる。



「それにしても、灑良。今日はいつも以上に弄(いじ)られてたね」



『ほんと、あのサディストめ』



「あたしも一度でいいから弄られたいわ」



容姿が優れている男性と女性に目がない柚乃は、頬に手を当てデレデレし始める。



ほんと、彼の標的が私から柚乃に変わったら、泣いて喜ぶよ?



まぁ、一生叶うことのない儚い願いだけど……。



「あーあ。今年こそは、担任朝比奈先生だと思っていたのに」



『柚乃、恐ろしいことを言わないで』