嘘吐きなその唇で


 * * *


「……オイ、灑良。今日、本気で俺の椅子の脚に蹴りを入れただろ」



『あー、ごめんごめん』



隣に座っている雅哉を一瞥しないで淡白に答える。



そして、焼きそばパンに噛り付いた。



うん、美味しい。



「灑良、こんな男に謝らなくていいのよ?今度は、椅子から雅哉がずり落ちるくらい蹴っちゃっていいから」



テーブルを挟んで向こう側に座っている彼女もまた、雅哉を一瞥することなくうどんをすする。