嘘吐きなその唇で

「女の子が男に勝とうなんて、無理無理」



口元を押さえながら、目を細めて愉快げに笑っていた。



……ねぇ、朝比奈さん。



いい加減、私を弄(いじ)って遊ぶのやめてくれます？




『私、ゆっくりと一人で晩飯を味わいたい。用がないなら帰って、隣人』



「えー。けど、俺を部屋に上げたのは灑良じゃん」



『……』



ごもっともなことを言われた私は、反論の言葉が出ない。



スッと視線を斜め右に下ろし、朝比奈さんに聞こえるように盛大な舌打ちをする。