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「璃花、起きろ。」



突然頭に響いた静かな声に、はっとして目を開けた。



ボーッと考えたまま眠ってしまったようだ。



バッチリ頬杖をつきながら下を向いていた。



「もう放課後だよ。」



聞き覚えのある声に顔を上げると、やっぱりはるき君がいた。


「今…『璃花』…って…」



「何言ってるの?夏目さん」



そう言って笑顔を向けてくるはるき君。



やっぱり空耳か。



そして無駄に笑顔なのはなんなんだろう…



「あ!委員会!」



「だから起こしているんだよ。あと10分で始まるから」



そう言って、さっきとはまるで違った柔らかく緩んだ顔をするから



「ッ…ごめん!」



びっくりして言葉に詰まる。



目を見ていられなくて俯くと、頬が熱いことに気づいた。



どうしたんだろう…?



会議室に向かう途中も、はるき君を見られなかった。



…璃花って、本当に空耳?



確かに聞こえた。



はるき君の声で



『璃花』



って…



この謎が解けたら、熱い頬の意味もわかるのだろうか…?