いきなりの言葉は、風の音
にさえかき消されそうなぐらい
小さかった。
大きな瞳を俯き気味にさせながら
チラチラと理恵を見る。
周りを歩き交っていた人達も
駅の方に姿を消していった。
「お前はアホだろ。天然記念物級のアホだ」
鼻で笑い飛ばしながら理恵は言う。
しかし昴に向きなおり、不器用な
笑顔で呟いた。
「だから......。今日だけはそのアホのアホ事に付き合ってやるよ」
ブツブツと呟く。
一方の昴は呆気にとられ、
驚きを隠せないでいた。
「え、いいのか?」
「仕方なく、だからな。勘違いするなよ!」
