雨が降っている。


さっきからその降りは止まず、
同じ調子で静かに降り続いていた。


チャイムがなり、生徒達の待ち遠しかった昼休みが訪れる。


教室にいた生徒達が一斉に溢れ出し、
騒がしくなり始めた。


そんな中、教室に残り机に腰を降ろしている人もいる。


コンビニ袋を机に放り、
黙々とパンを頬張っていた。


彼女は小宮 理恵〈こみや りえ〉。
公立高校に通う1年生だ。
そのせいか制服が着慣れていない風だった。




「あぁ~腹減ったぁ......」




もう一人、理恵の他に教室に残っている生徒がいた。


理恵はそれを特に気にする様子もなく、
相変わらずパンにパクついている。




「ねェねェあのさ、オレに昼メシ分けてくんない?」




先ほどの男子生徒が理恵に向き直り、
初対面とは思えない態度で話しかけてきた。