優しく重ねられた桜の唇は温かくて桜がここにいるって実感してあたしが独りじゃないって思える……

今まで独りだったあたしが独りじゃないって。

孤児のあたしが初めて感じる優しくも苦しい愛。

家族とか親からの愛とは違うけど、桜はあたしに愛をくれてる……

桜はそっとあたしの唇から自分の唇を離した。

その時あたしの目の前にふわりと白いものが落ちて来た……

「雪だな。今年は早いな」

雪……