彼女は透けていた。


でも、恐ろしいとか、そういうのはなかった。


話すのが、楽しかったし。


「……ずっとそこ居たの?」


「いや、さっき通り抜けて来たの」


ほら、と、隣のトイレとの境目を行ったり来たりする彼女。


「……名前は?」


「花子だよー☆」


どっかで聞いたことあるな……。


というか、有名だよね……。


「私が花子のこと見えるって、特別な能力なの…?」


「いや、誰でも見えるよー。ま、皆キャーキャー言って逃げるけど。」


まあ、幽霊見たら普通驚くよね。