はなさんは言わなかった。

雪菜さんにこの話を聞いたことを気付かれないようにして欲しいとかは。

でもきっと。

これは言ってはいけないことなんだろうなということはなんとなく理解できていて。

でもだからこそ、確かめなくてはいけないことで。

ってか普通こんなことすぐ信じるのがおかしいことだよな。

ロボットですって言われて、そうですかって信じるなんてふざけてる。

でも、はなさんがそんなこと言わない人格だというのは理解できていて。

だからこそ、俺は今、

「雪菜さん。」

聞きたい、と思った。

彼女の口から事実を。

「なに、海?」

あ、でもやっぱり無理かも。

でも返事しないと。

うぅ。


「雪菜さん・・・今元気ですか?」



その質問は俺にとってのごまかしの言葉で、

雪菜さんにとって多愛のない言葉になるはずだったのに。

彼女は、

その言葉に迷ったように笑い、

肯定も否定もせずに、

「・・・今は多分。」

とごまかして

「ごめんね。空気壊して!」

と謝った。

それを見て俺は、

信じられなかったけど、信じてしまった。