トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐




目の付け所がそれぞれ。

基礎からマニアックまで、広く網羅している。




「耳を澄まして、中庭にいる人の声を聴いてご覧なさい」



「はあ? 何で俺様がんなこと……」



「いいから、聴け」



「………チッ」




舌打ちしながらも、浪瀬は目を閉じた。






『数学のあの求め方なんだけど……』

『ああ、あれはこの方程式に当てはめて……』


『元素記号覚えたか?』

『そういや、出るって言ってたな』


『日本って何気候だっけ』


『この作者、他にどんな本書いたか知ってる?』

『最近出たのは……』




聞いたそばからノートにメモ。



生徒たちの予想を侮るなかれ。


授業中「ここ出るぞ」の声を逃さず聞いている彼らは、苦手なところを補いあい切磋琢磨している。


そうでなくても、色々な、些細な疑問が飛び交い、うろ覚えだったところがはっきりすることも多々ある。

三人寄れば文殊の知恵、とはよく言ったものです。




「すげーな………」



浪瀬が圧倒されたように声を漏らした。



「あのゲームにこんな攻略法があったなんて……」




「貴様は何を聴いていた!」