トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





「話を戻して……」



咳払いして、さっきまでのくだらなく痛いやり取りを全力で抹消した。




「それは、今は産休でいない先生が関係しているのかしら」



「何だ、話がわかるじゃねーか」




だったら、私の返事はひとつ。




「お断りします」



「認めねぇ!」




いやいや、不正を認められちゃ困るんだけど。



これだけは譲れない。



彼、浪瀬忍は中間テストの際、女教師をたぶらかしてテストの問題を貰っていたという経歴を持つ、とんでもない生徒である。


めでたく、その女教師は産休をとっていて学校には来ていない。

そこで白羽の矢が立ったのが私、といったところでしょうか。



勘弁してくれ。




「まだ時間はあるんだし、必死になって勉強すれば?」



「俺様に勉強なんか似合わない。努力せず点を取るからかっこいいんだ」



「んなことあってたまるもんですか、努力してる人達に土下座なさい!」



「誰がするかよ、バカか」



「人をバカバカ言わないでよ!」




「うるせー。バカにバカっつって何が悪い」




「………そうですか、散々私をバカ扱いするくらいですしぃ、貴様は大層ご立派でいらっしゃるのよねぇ?」




「当然だ。顔がよくて身長も高くて運動も出来るときたら、女は放っておかないぜ」




白い歯をキラリと見せて、自分に酔った風の浪瀬。




「いくら顔よし身長よし運動よしでも、性格と頭も良くなくちゃモテないのよん。運動さえ出来ればモテてた小中学生とは違うの」




ウフフッと口元を手で隠しながら流し目を送る。




「キモい」




………皆まで言うな。