彼女が居眠りをしてしまったのだ。
どうしよう、起こしてあげないと乗り過ごしてしまう。
悩んでいるうちにS高前に着いていて、気付いたら彼女の頬に触れて、声をかけて起こしていた。
彼女は目を覚まし、転がるようにホームに降りる。
同時にドアが閉まった。
動き出した電車。
背を向けていた彼女が振り向き、目が合った。
それも一瞬で、加速する車内で、移り変わる窓の景色は、もう彼女を見せてはくれない。
僕はさっきまで彼女が座っていたシートにかける。
やってしまった。
昔、少し話しかけただけで彼女面してくる女がいた。
しかしたら、あの人もそうかもしれない。
今まで何もしてこなかったのは、その為の布石だったのかも。
考え出したらキリがない。


