では。
「君が去ったあと、彼は『ブスなくせしてこの俺様に付き合ってください、だと? 大金積んで出直すんだな』と言う意味合いのことを大笑いしながら言っていたよぉ」
かなり省きましたが、こんな感じでしょ。
わざわざ浪瀬のせりふは彼の声真似をして言ってやった。
我ながら、よく似ていたと思う。
「これじゃあ、千年の恋も冷めるよねぇ」
問いかけ、しばらくすると、返事があった。
「なにそれ、最低な男ねっ!」
彼女は泣きながら笑っていた。
「そう思えば、フられてよかったのかもしれない。むしろ、こっちから願い下げよっ」
ぱんぱんと二回、乾いた音がする。
頬を叩いて、気合を入れなおしたのかな。


