進学校の最寄り駅は、S高校前よりも後のはず。
「何不思議そうな顔してんだよ、俺様はお前より都心近くに住んでんだよ。つまり、俺様は徒歩通のお前より都会人だ。もっと俺様を敬え!」
「よくわからない理屈を述べるな、俺様俺様五月蝿い。てか、なんで私が徒歩通学って知ってるんですか!」
浪瀬はにやついた顔のまま何も言わない。
してやったりと顔にかいてありますわよ。
いちいち付き合ってられない。
ため息ひとつで気持ちを切り替えることにする。
遅くても、今年の4月から2週間ほど前まで、進学校の彼は上り車線で通学をしてたことになる。
あのあと下り車線で通学を始めたのは、単なる偶然か。
決定打がなくて、理由まで想像がつかない。
「うむ………」
「おい」
「何ですか」
「進学校に行ってみるか?」
「……ええっ!?」
「ひっでー顔」
そりゃぁ、驚きすぎて顔も崩れますよ。


