トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





「2週間くらい前だったか、俺様が乗る電車に急に現れて、女の子達の視線をかっさらっていった嫌な奴だ」



「黙れナルシスト」



「やだねっ、ぽっと出の奴に俺様の女の子達を取られて黙ってられるかよ!」



「女の子は貴様のものじゃないよ!」



「奴が出て行ったあとの車内で、俺様がどんなに不憫な気持ちを味わったか……お前にわかるか? 昨日まで俺様に熱視線を送ってくれたレディ達がいなくなった奴のことでキャアキャア言ってるんだぜ!?」



「浪瀬のキャラ迷走中!」




って、あれ?


何か引っ掛かった。



さっきの会話を思い出しながら口を開く。




「今、奴が先に降りたって言った?」



「あ? それがどうした」



「貴様いつもどこの駅で降りてるんですか?」



「はぁ? S高校前に決まってんだろ、バカか」




………おかしい。