トイレの神様‐いいえ、ただの野次馬です‐





とか言いながら自分で微調整をしていく。



ようは、気に入ったようだ。





私はニマニマしながらその様子を見ていた。




下校のピークを少し過ぎた頃、ようやく北村美友紀先輩が姿を現した。





「浪瀬」



「何だよ」




未だ鏡とにらめっこしている浪瀬からそれを取り上げ、行くぞと手で合図する。





察しのいい浪瀬は不機嫌顔を引っ込め、立ち上がった。




目でうなづきあって、北村美友紀先輩の尾行を開始する。





まぁ、尾行といっても、物陰に隠れつつ進むような怪しいものでなく。







「シノぉ、今日はどこに行くぅ?」




「お前の行きたい所なら、どこでも」




「えー、あたしもぉー」





甘えるような声を出して、浪瀬の腕に自分のそれを絡ませる。







「………おい」




「何だい、浪瀬君」




「この茶番は何だ」




「カップルの真似に決まってるでしょ」




「どの時代に人目をはばからずこんなことする奴がいるんだ。そうかここにいたな」




「校内で同じようなことやってる貴様が言うセリフかなぁ?」




「あれは女が勝手にやってるだけだ」






小声で言い争いつつも、足は変わらず動かしている。




微笑みながら言葉を交わしているので、通行人には私たちが立派な恋人同士に見えることでしょう。




若干、注目を浴び、避けられている気がしないでもないが、そんなものだと己を納得させる。